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「ツイてる」の実験

「ツイてる」という言葉をたくさん言うと、本当に「ツイてる」ことが起きる。そんな話をよく耳にする。先日も、「ツイてる」というのは、いつも自分にツイて守ってくれている、ありがたい存在のことだと、本に書いてあった。

それで、ある朝、試しに「ツイてる」と言いながら駅までの道を歩いてみた。周りに人が居ない間の、ほんの数分間のこと。

駅に到着すると、なにやら信号機トラブルで電車が遅れているとのアナウンス。

あら?「ツイてる」と言ったのに、トラブルが起きるなんておかしいな、と思いながらホームへ。いつもより混んでいる列の後ろに並ぶ。15分ほど遅れて来た電車はかなり混んでいる。朝の15分は大きい。いつもなら、6時半ごろの電車は比較的空いていて、次の駅で降りる人もいるので、運が良ければ座れるが、この混みようでは難しそうだと諦めた。

電車に乗り込み、後から横から押されて奥へ入ってゆく。自分の自由には身動きがとれない。そして次の駅に到着。また、横から後から押されて、あれあれと思っているうちに、たまたまその駅で降りる人のまん前に・・・。あら、座れてしまった。やっぱりいいことがあった、とうれしくなった。

その日、会社で「よかったらどうぞ。」と本を頂いた。袋を開けると、中には本と一緒にシールが入っていた。それが「ツイてるシール」というのだったので、びっくり。実験はかなり成功かもと、一人でニンマリとしてしまった。

さて、夕刻。一日の仕事を終えて家路に着く。帰りは座ってゆくために、始発駅で並ぶ。電車が到着するころには、ずいぶんと列が長くなったが、前から3番目だったので、これなら余裕で座れると思っていた。

到着した電車のドアが開くと、最後の人が降りきらないうちに、待っていた人が乗り込み始めた。最後に降りようとしていた若い女性はトランクを抱え立ち往生。彼女のために、ちょっと脇に寄り立ち止まると、後ろの人が私を押しのけて電車に乗り込んだ。その勢いで人が車内になだれ込み、私は出遅れてしまった。

女性が降りた後、慌てて乗り込んだが、すでに車内の席は全部埋まっている。いつものように、「座席争い」は5秒で終了した。・・・ショック。車内をうろうろするが、もう空いている席はない。

でも、あの女性を押しのけて座れたとしても後味が悪かっただろうと、自分を納得させる。

「結局、最後に勝つのは誠意や思いやりだ。」という私の好きな作家の言葉を思い出し、50分間の「立ち」を覚悟してつり革につかまろうとしたときに、事件は起きた。

目の前に座っていた若い男性が、突然立ち上がり、あわてて電車を降りて行ったのだ。あれ、どうして? まあ、いいか、何だか知らないけれど座れたのだから。やっぱり、作家の言葉は正しかったと心の中で喜んだ。

以上、「ツイてる」の実験は、なかなかの結果だった。

Rie

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