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2009年2月

贈りもの

女性ベストセラー作家のトークショーへ行く機会があった。彼女は今でこそ、売れっ子作家で億単位の資産を持つが、たった4年前には、その日の食べ物にも事欠く日々があったそうだ。

彼女が42歳だったとき、突然、夫がリストラになった。その精神的ショックで夫は病気になり寝込んでしまう。貯金はすぐに底をつき、育ち盛りの3人の男の子を抱え、それまでは専業主婦だった彼女が家族を養わなければならなくなった。就職先を求め面接に行くも、子どもが3人いるということで30社以上回ったけれど、全て落ちた。家庭をもつ女性の再就職がこんなにも大変だとは、と驚いたそうだ。

仕方なく昼間はお菓子屋さんで、夜は食品工場で、空いた時間をもう一箇所で、と3つもアルバイトをかけもちしたけれど、家族5人が食べていくほどは稼げない。生活も苦しかったけれど、そのうち気持ちも苦しくなっていった。そして、心身ともに疲れ果てたある日、彼女は、ふと思い至る。これだけ働いても食べてゆけないのなら、せめて好きなことをして食べてゆけないほうが、精神的に自分が楽になるのではないか。

そこから作家になりたかった彼女の活動が始まった。最初は何度も壁にぶつかる。でも、常に、どうしたらその壁を乗り越えることができるかを考えて、小さな壁も大きな壁も、ひとつずつクリアしていった。途中、勤務先をクビになるが、それが東京へ出てくるきっかけになった。そして、たった数年で彼女はベストセラー作家になった。「たった4年で、人生が変わるんです。」それを体験してきた本人の言葉だから、重みがあった。

夫がリストラになったこと、就職先が見つからなかったこと、仕事場をクビになったことが、彼女を成功へと導いた。もし、リストラがなかったら、もし、就職先が見つかっていたら、今の輝かしい彼女はいなかっただろう。日々、起きてくるいろいろなことは、神さまからの「贈りもの」なのかもしれない。

彼女の言葉で印象に残ったのは、「自分の力で夢を叶えたんじゃない。周りのみんなが叶えてくれた。だから、感謝、感謝、感謝なんです。」

日常の小さなことから大きなことまで、すべてを「贈りもの」だと感じることができれば、幸運の風は吹いてくる。

目の前のことを「贈りもの」だと感じとる力は、例えば、自転車に乗ることを覚えるように、身につけることができると思う。そういう意味で、日常はトレーニングのチャンス。

すべての「贈りもの」に感謝。

Rie

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自然のリズム

フラダンスを習っている友人に誘われてフラダンスのショーを見にでかけた。年に一度来日するそのハワイアンの舞踊団は、新聞の一面に大きな広告を出した。一人一万数千円するチケットがあっと言う間に完売したらしい。さぞや、すばらしいフラダンスなのだろうと期待しながら、渋谷にある大きなホールへ。

ショーが始まる。ステージ端にスポットライトが当たる。一人の男性歌手がパーカッションを叩きながら歌い始める。パーカッションの音だけで、歌う姿は野生的で力強い。やがてダンサー達がステージに踊りながら登場する。歌は、ハワイの言葉。ステージの両サイドにある電光掲示板には、その日本語訳が出る。

太陽、海、波の音、猟師たちの声、風に乗れ・・・

大地、恵み、愛する人・・・、

踊れ、歌え、日はまた沈み、日はまた昇る・・・

この美しい島、すばらしい世界・・・

太陽、海、波の音、風、人、大地、愛・・・

ハワイの風景と、そこに生きている人たちの光景を歌い、踊る。それは、延々と40分も続いた。

ダンスはともかく、パーカッションを叩きながら40分間、休みなく歌い続ける。そんな事ができるなんて、と驚いた。

40分間歌い続けても、彼の声に疲れたようすは全くあらわれなかった。きっと、まだ歌い続けることが出来るのかもしれない。最初から最後まで、ずっと同じトーン。それは、寄せてはかえす波のように、同じように見えるけれど、二度と同じではないものが延々と繰り返されているかのようだった。

あんなに長く歌い続けられるのは、エネルギーを放ちながら、同時にエネルギーをチャージしているのだろう。自然のリズムに乗れば、考えているよりも、ずっと遠くまで行けるのかもしれない。

日は昇り、日は沈み、そして、また、日は昇る。

同じように繰り返される日々も、二度と同じ今日はない。

自然のリズムを感じながら、かけがえのない今を過ごしていたい。そしたら、時間の奥深くまで旅ができるかもしれない。

Rie

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サクラ、サク!

ランチタイムは食事をするために外に出る。私がいつもランチをとるお店まで、会社から歩いて3分。銀行や郵便局を回ると、全部で十分ぐらい歩く。サッカーの試合ができるぐらいの大きなグランドを囲むように道があり、広い空を眺めながら歩くと、散歩をしている気分になる。

今日は、とても風が強く、寒さよけの襟巻きが風に飛ばされそうになった。会社の人が「春一番だよ。」と教えてくれた。

言われてみれば、強い風だったけれど、冷たくはなかった。それに「春一番」という言葉を聞いたら、うれしい気持ちになった。

まだ2月だけれど、春の訪れは、早くも始まっている。

先週末に、出かけた先で、今年初めてのサクラの花に出会った。まだ2月が始まって一週間というのに、こんなに咲いているなんて、とびっくりした。新宿から電車で30分ほどの場所。3本のサクラの木が並び、同じように満開になっていた。蕾が膨らんでいるとか、花が少し開きかけているのではなく、満開だ。

思わず、携帯を取り出し、数枚の写真を撮っているうち、木の天辺にグリーンの鳥をみつけた。

可愛らしい声で鳴きながら、サクラの蜜をつついているのだろうか。私が携帯を向けても、ちっとも気にしない様子。満開のサクラに囲まれて、チュン、チュンと賑やかだ。

今年はこんなに早い時期にサクラの花と出会い、いい春が着そうでうれしくなる。ちょっと興奮気味に、「サクラが、もう咲いていたよー!」と友人へ写真付きのメールを送った。

翌日、その友人から、写真付きのメールが届く。「今、庭の金のなる木にメジロがいてね・・・」と、写真にはメジロが大きく写っていた。私がサクラの木に見つけた鳥と同じ色。友人が送ってくれた写真の中の金のなる木も、花が満開だった。

満開の花たちと鳥たちは、春の訪れを人間よりもいち早く楽しんでいるようだ。

春一番。

今年の春はきっと、いい春になる!

Rie

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きもの

ホテルの宴会場に集まった約150人のうち9割が女性。そして、その9割が着物姿。

お稽古事の新年会へ、今年も私は洋服姿。毎年、来年こそは頑張って着物を着ようと思うけれど、やはり、今年も何だかんだと忙しくしているうちに準備が間に合わず、お洋服。

今年のゲスト、コシノジュンコさんもお着物で登場。赤い地に黒い柄。光沢のない落ち着いた生地が個性的な印象を強める。その日は「きもの」をテーマにお話してくださる。

海外で着物を着ていれば、名刺も自己紹介もいらない。そして、とても大事に扱われると言うコシノさん。

例えばパリでの話。

年に一度ワインの収穫祭の日に、各ブランド店は、お得意様やプレスの人を招待して、お店でワイン・パーティーを開く。彼女のお店が入っているのは、クリスチャン・ディオールやシャネルなど、一流ブランド店が十数件連なる場所。

その日は、全店がワイン・パーティーを開くけれど、それぞれのお店の招待状を持っている人だけが、お店に入ることができる。コシノさんのお店のパーティーには、日本からやってきた友人10名ほどが、着物姿で花を添えた。

その彼女たちが、ちょっと辺りを見てくると出かけていった。そしてしばらくして帰ってくると、なんと全てのお店のパーティーに入れてもらったと言う。そんなことはプレスの人以外有り得ない、しかも招待状なしで、と驚いたコシノさん。

実は着物姿だったので、お店の前を通るたびに、どうぞ、どうぞと招き入れてもらい、丁重なもてなしを受けたそうだ。

着物という文化をもつ日本に生まれたことが、どんなに貴重なことか。折に触れ、フランス人たちの着物に対する尊敬の眼差しと高い評価に出会ったコシノさんは、あらためて着物文化のすばらしさを感じたという。だからこそ、日本人にもっと着てほしいとも。

そんな話を聞きながら、やはり来年こそは着物で新年会へ来ようと気持ちは盛り上がる。

コシノさんは、さらに語る。

着物を着れるようになるには時間がかかる。着こなすためには、もっと時間がかかる。でも、それは、日本人に与えられた伝統文化。基本をきちんと学び、ひとつひとつに丁寧に向き合ってゆくことが大切だ。手間隙、時間がかかるからこそ日本人にしか着こなせない文化であり、それが楽しみでもあるのだと。

そう、準備が大変だなどと言っていては、もったいない。せっかく日本人に生まれたのだから、日本の宝物を受取るように美しく着物を着てみたい。

Rie

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