贈りもの
女性ベストセラー作家のトークショーへ行く機会があった。彼女は今でこそ、売れっ子作家で億単位の資産を持つが、たった4年前には、その日の食べ物にも事欠く日々があったそうだ。
彼女が42歳だったとき、突然、夫がリストラになった。その精神的ショックで夫は病気になり寝込んでしまう。貯金はすぐに底をつき、育ち盛りの3人の男の子を抱え、それまでは専業主婦だった彼女が家族を養わなければならなくなった。就職先を求め面接に行くも、子どもが3人いるということで30社以上回ったけれど、全て落ちた。家庭をもつ女性の再就職がこんなにも大変だとは、と驚いたそうだ。
仕方なく昼間はお菓子屋さんで、夜は食品工場で、空いた時間をもう一箇所で、と3つもアルバイトをかけもちしたけれど、家族5人が食べていくほどは稼げない。生活も苦しかったけれど、そのうち気持ちも苦しくなっていった。そして、心身ともに疲れ果てたある日、彼女は、ふと思い至る。これだけ働いても食べてゆけないのなら、せめて好きなことをして食べてゆけないほうが、精神的に自分が楽になるのではないか。
そこから作家になりたかった彼女の活動が始まった。最初は何度も壁にぶつかる。でも、常に、どうしたらその壁を乗り越えることができるかを考えて、小さな壁も大きな壁も、ひとつずつクリアしていった。途中、勤務先をクビになるが、それが東京へ出てくるきっかけになった。そして、たった数年で彼女はベストセラー作家になった。「たった4年で、人生が変わるんです。」それを体験してきた本人の言葉だから、重みがあった。
夫がリストラになったこと、就職先が見つからなかったこと、仕事場をクビになったことが、彼女を成功へと導いた。もし、リストラがなかったら、もし、就職先が見つかっていたら、今の輝かしい彼女はいなかっただろう。日々、起きてくるいろいろなことは、神さまからの「贈りもの」なのかもしれない。
彼女の言葉で印象に残ったのは、「自分の力で夢を叶えたんじゃない。周りのみんなが叶えてくれた。だから、感謝、感謝、感謝なんです。」
日常の小さなことから大きなことまで、すべてを「贈りもの」だと感じることができれば、幸運の風は吹いてくる。
目の前のことを「贈りもの」だと感じとる力は、例えば、自転車に乗ることを覚えるように、身につけることができると思う。そういう意味で、日常はトレーニングのチャンス。
すべての「贈りもの」に感謝。
Rie

